給食費の無料化が進む

全国の自治体で給食費の無料化が進められています。

しんぶん赤旗2022年11月16日(水)に掲載されました。

シリーズ 共産党地方議員団

住民の願い共に

広がる学校給食無償化

小中校とも実現 2017年は76自治体 → 現在224 5年間で3倍化

 「親が給食費を払えないから食べない」「朝ご飯を食べられない子もいる」-。学校給食はかけがえのない役割を果たしていますが、7人に1人の子どもが貧困状態といわれる中、物価高騰も重なり、給食費が子育て世帯の重い負担となっています。その中で、無償化を求める願いは急速に広がり、給食費を無償とする自治体が増えています。(土屋知紀)

 給食費の1人あたり平均月額は小学校4343円、中学校4941円(2018年文科省調査)。小中学生の子ども2人世帯の場合、年間11万円余です。
 日本共産党は国会で、憲法26条の「義務教育は、これを無償とする」という規定通りに学校給食を無償とするよう求めてきました。党の地方議員も議会で論戦を重ね、地域の世論や運動と力を合わせて無償化への道を切り開くとともに、本来は国の責任で恒久的に無償とすべきだとの声を広げています。
 これにより、17年には小中学校とも無償化した自治体数は76だったものが、現在は224自治体へ5年間で3倍化(10月29日時点、日本共産党自治体局調べ)。大都市にも広がっています。

■青森市 市民とともに

 青森市(人口27万人)では、10月30日に投開票された市議選で、10月からの小中学校の給食費無償化の実現に力を尽くした6人の日本共産党の候補者が全員当選しました。
 党市議団は4年前の選挙で給食費無償化を公約して以来、議会で粘り強く実現を迫るとともに、「学校給食無料化をめざす青森市民の会」と共同し、署名運動の継続や学習会を積み重ねて実現を勝ち取りました。
 村川みどり市議は「昨年12月の議会では、日本共産党以外の全会派が市民の請願署名に反対しましたが、市民とともに声を上げ続けた」と強調。「選挙中は保守系会派が『共産党が無償化したのはうそだ』など、いわれなき攻撃もありましたが、市民との共同で実現した事実が反共攻撃をはね返す最大の力になった」と語っています。

■宮城・富谷市 県内の市で初

 宮城県富谷市(人口5万人)は、来年4月から小中学校の紿食費を無償化します。県内14市で初めてです。必要額は年3億円程度。財源は、毎年発生する7億~10億円の黒字を使う予定です。
 日本共産党市議団は、18年に佐藤聖子市議団長(当時)が市議会で提案。今年の6月議会では、藤原峻議員が黒字や国の臨時交付金の活用など具体的な財源を示して無償化を求め、市は「いま検討している」と答えました。その後の9月議会では、保守系議員らも要求するなど議会で無償化を求める声が多数を占め、実現に至りました。
 藤原氏は、市民から「負担が減りありがたい」という声が寄せられていると述べた上で、「無償化で給食の質が低下しないよう、今後は地産地消や米飯などを進めたい」と語っています。
 同市の担当者は「議会での要望があり、当初は『一部無償化』を検討していたが、隣県の青森市が中核市で初めて完全無償化に踏み切ったこともきっかけになった」と強調。今後は、無償化を国の制度とするよう、近隣自治体と連携して政府へ要望したいと話しています。

■東京・葛飾区 一歩ずつ軽減

 東京都葛飾区(人口46万人)では来年4月から17億円の予算で完全無償化を実施します。
 日本共産党区議団は、おりかさ明実区議(当時)が10年に、「義務教育は無償にすべきだ」と、給食費の無償化を提案。区は当初は拒否してぃましたが、党区議団の繰り返しの要求で、多子世帯の無償化(13年度)、就学援助の拡大(14年度)など、一歩ずつ負担軽減策を拡充してきました。
 今年に入り区議団は、予算委員会や3、6月議会の本会議、文教委員会などで「学校紿食費の無償化に踏み出すべきだ」と要求。ついに無償化への道をこじ開けました。
 三小田(みこた)准一区議団長は「粘り強く無償化を求め、一歩ずつ前に進めた。あきらめず区民の声を届けたことが区政を動かす力になった」と話しています。

■東京・足立区 財源も示して

 東京都足立区(人口69万人)では、日本共産党区議団が16年に一部無償化のための予算修正案、17年には無償化条例案と予算修正案を提出。19年には無会派議員と共同で第3子の無償化条例案を提出し、20年にも党区議団として第3子の無償化条例を提案しました。
 党区議団は、ため込まれた基金の活用など、財源も示して論戦。それらの奮闘の結果、21年からは公立小中学校に在籍する第2子は半額、第3子以降は全額補助の制度が実現し、完全無償化まであと一歩に迫っています。
 市民らが22年8月に結成した団体「足立つ子紿食費無償化ネットワーク」は11日、区議会に787人分の追加の陳情署名を提出。合計7338人分に達するなど、無償化を求める運動が広がっています。
 署名を提出した3人の子の母親は「年の離れた多子世帯には、年間5万円程度の紿食費も負担です」と話しています。

生活苦深刻 黒字活用を

 住民の生活苦が深刻となる一方、総務省の資料によると、21年度は全ての自治体が黒字。使い道が自由な財政調整基金は、市町村は6兆959億円(21年度市町村普通会計決算の概要・速報)、都道府県は2兆5336億円(21年度都道府県普通会計決算の概要・速報)に達し、いずれも前年度に比べて増えています。
 黒字など、税金の有効活用が求められています。
 学校給食は子どもの食生活の改善や健康な体づくりに大切ですが、子どもが多い世帯ほど高負担となります。
 政府はすでに約70年以上前の51年3月19日、日本共産党の岩間正男参院議員の質問に対し、義務教育の無償を「できるだけ早く広範囲に実現」したいとして、学用品、学校紿食費などの無償も考えていると答弁しています(参院文部委員会)。      
 日本共産党の小池晃書記局長は10月7日の参院本会議での代表質問で、学校給食法は自治体の判断で紿食費の全額を補助することを否定していないと自治体に徹底すべきだと要求。岸田文雄首相も「自治体が補助することを妨げるものではない」と認めています。