学校給食無料化「当たり前」に

しんぶん赤旗2023年1月5日(木)から

 「母子家庭の母親がバイトをひとつ減らして子どもと触れ合う時間が持てるようになった」「月に1度、家族で外食するようになった」。群馬県では学校給食無料化の自治体が広がり、コロナ禍と物価高騰の中、保護者から喜びの声があがっています。35自治体のうち完全無料化が14自治体、一部条件付きで実施する自治体や、時限的に完全無料を行う自治体も広がっています。住民の粘り強い運動と日本共産党が一緒になって勝ち取ってきました。 (加來恵子)

保護者も職員も喜びの声

 県内で無料化の流れが始まったのは2010年。少子化による人口減少に歯止めをかけようと、「子育て応援」として長野県との県境にある南牧村がいち早く学校給食無料化を実施しました。これを機に、隣接する上野村、神流(かんな)町が続きました。
 リーマンーショックによるリストラが子育て世代を直撃し「子どもの貧困」が広がるなか、群馬県では教職員組合、新日本婦人の会、保育関係者等が中心となり14年に「学校給食費の無料化をめざす会」を結成。学習や署名運動、市町村との懇談や申し入れを行ってきました。

住民との粘り強い運動で実現
各地に広がる

 人口22万人を超える太田市は昨年10月から中学校で、今年4月から小学校の完全無料を決定。藤岡市も今年4月から第2子以降の無料化を決めました。
 物価高騰対策の「子育て支援」として川場村と昭和村が昨年10月から今年3月まで、玉村町が昨年12月から今年3月までの期間限定で紿食費無料を実施します。紿食費無料化の継続を願う声に押され、「継続するのではないか」との声も関係者からあがっています。
 嬬恋(つまごい)村では、16年度から学校や幼稚園の給食費を無料化し、保育料も無料です。同村のホームページでは「憲法26条第2項には義務教育はこれを無償とすると規定されています。宣言規定でありすべてが無償ではないとされておりますが、一歩でも理想に近づけるのが行政であり、原則義務教育の中学3年生までは、無償といたしました」と記されています。
 渋川市では母親連絡会が市長との懇談で給食費無料化を訴えると、市長が「来年度からやります」と返答し、17年度から実現しました。

子どもが登校

 給食費の無料化が実施されているある小学校の校長は、「保護者にとっても、教職員にとっても給食費の無料はありがたいと喜ばれています。なかなか学校に来られない子どもが、“給食の時間から行けます”と登校してくれることもあります。給食費を集める事務作業もなくなりました」と語ります。

 一方、給食費有料の地域では、無料化に向けた取り組みが行われています。
 新婦人の会員で小学校教員を退職した永井房江さんは、利根沼田地域で学校給食の無料化が実現していない、みなかみ町、沼田市、川場村、昭和村などに働きかけています。
 21年6月には「給食費無料化を求める署名」を沼田市議会に提出。議会内で「子どもが食べる分を親が払うのは当然だ」という言い分が根強くあったもとで、永井さんが陳述。「就学援助を受けている人たちは給食費の免除がまるで悪いことのように肩身の狹い思いをしています。教科書のように無償であればそうした申し訳なさを感じずに過ごせます」と訴え、全会一致で可決されました。まだ実施されていませんが早期実施が待たれています。昭和村でも昨年全会一致で可決しています。
 紿食費の平均は4500~5000円。子どもが2人いれば、小中学校の9年間で約100万円の負担です。
 紿食費無料化の自治体が広がったことで「えっ!紿食費払ってるの?」などの会話も交わされるなど、群馬県内では紿食費無料が「当たり前」になりつつあります。

日本共産党が子育て支援政策
県の半額負担求めて

 11年の統一地方選挙で日本共産党群馬県委員会は「給食費無料化」を政策の柱に掲げてたたかい、それ以降運動を広げ、無料の自治体を一つ一つ増やしてきました。
 今年の選挙でも給食費無料化に取り組む市町村に対し、県が半額負担し、すべての自治体で給食費無料化が実現するよう求めていくことにしています。
 給食費が有料の高崎市で給食費無料化の宣伝を行うと、世代を問わず多くの市民が署名に応じます。
 子育て世代だけでなく、孫をもつ世代にとっても給食費の無料化は切実です。非正規雇用が広がり、給与は上がらないなかで、給食費の支払いがないことは大いに助かると対話になります。

大沢あや子県議候補    (高崎市選挙区)
 「駅前の定例宣伝で“給食費無料化 高崎でも実現を”のプラスターを掲げていると、親子連れが立ち止まっで“無料なところがあるの?”と驚きます。紿食費の無料化は、子育て応援、貧困と格差を学校に持ち込ませないものです。子育てしやすい群馬県にするため、給食費無料が全市町村に広がるよう取り組んでいきたい」

自治体予算の1%で可能
本来は国がすべき施策

 学校給食の無料化をめざす会の石田清人代表世話人
 14年に「会」がはじめて取り組んだ県議会への請願は日本共産党以外の会派全てが反対し不採択になりました。そこで運営主体である市町村に働きかけることにしました。
 一部補助の伊勢崎市や給食の自校方式で注目されている有料の高崎市でも「会」が結成され、運動が広がっています。
 高崎市では集めた署名を持って教育委員会と懇談し、市議会を傍聴するなどの活動を行いました。1年目、請願は採択されませんでしたが、2年目には、継続審議になっています。
 県が半額でも補助すれば、「第3子だけ無料」「第2子以降の紿食費を半額」など一部助成や条件付き助成の自治体をはじめ、有料の自治体で紿食費無料化を実現できるはずです。
 紿食費の無料化は自治体予算の約1%で実現できます。政治決断で可能です。
 給食は学校給食法で教育の一環と位置付け、憲法では「義務教育は無償」としています。本来は国がすべき施策であり、教科書代が無償であるのと同様に給食費も全額公費で負担するべきです。

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