敵基地攻撃能力 自民重鎮が批判

しんぶん赤旗2023年1月10日(火)掲載記事から pdf

河野元総裁「転換あり得ない」
古賀元幹事長「専守防衛逸脱」

 敵基地攻撃能力(反撃能力)の保有など安全保障政策の大転換に踏み切った岸田文雄政権に対し、自民党重鎮から批判の声が上がっています。同党元総裁の河野洋平元衆院議長はTBS系「報道特集」(7日放送)で、「70数年前に日本は決心したんじゃないか。尊い命を犠牲にしてわれわれは今ここに繁栄を得ている。決してあの過ちは繰り返しませんと何十年も言い続けて、その結果がこの政策転換と言うのはあり得ない」と訴えました。
 河野氏は、安倍晋三内閣が政策転換の起点だったとして「安倍政治というものに非常に大きな問題があった」と指摘。「少なくとも国会で議論する、もっと言えばこれをテーマに解散して総選挙で国民の信を問うぐらい重要な問題だ」と述べ、戦後最大ともいえる政策転換を行う信念、深い考えがあったのかと疑問を語りました。
 中国との関係では「外交関係でこの問題をテーブルに乗せて真剣に議論したことがあるのか」と発言。現状の倍への軍拡の負担を国民にさせようという前に「外交努力が行われたのか」と疑問を呈しました。
 「反撃能力というのは威嚇だ。明らかに武力による威嚇を予算化しようとしている」とも指摘。「政治や外交の努力を抜きにして、ただ壁だけ建てていく。壁だけならまだいいけれど、壁の隙間から鉄砲を向けていこうというのは、本当の安全だと思わない」と述べました。
 この問題では古賀誠元幹事長も東京新聞のインタビュー(2022年12月16日付)で、敵基地攻撃能力の保有について「完全に専守防衛を逸脱してしまう」「憲法9条も脅かされるのではないか」と警鐘を鳴らしています。