岸田・大軍拡に異議次々
世論も急速に変化
文化人や自民重鎮

しんぶん赤旗2023年1月16日(月)掲載記事

 岸田政権による敵基地攻撃能力の保有と大軍拡・軍拡増税の動きをめぐり、世論の変化が起き始めています。

 TBS系JNN世論調査(7、8両日実施)では、防衛費(軍事費)増額の財源として2027年度に1兆円余りを増税で確保するとの政府方針に「反対」が71%に達しました。NHKが10日に発表した世論調査でも、軍事費増額財源の確保のための増税に「反対」が61%でした。「賛成」は22%でした。
 注目されるのは、JNN調査で、来年度から5年間の軍事費を43兆円に増額することそのものに「反対」48%、「賛成」39%となり「反対」が10%上回ったことです。この間の世論調査では「軍拡」そのものは「必要ではないか」が多数でしたが、変化が表れています。
  各界から発言
 年末年始にかけ、著名人からも発信があります。タレントのタモリさんが「新しい戦前になるんじゃないでしょうか」(昨年12月28日、テレビ朝日「徹子の部屋」)と警戒感を表明し、俳優の吉永小百合さんは、敵基地攻撃能力保有の動きに懸念を表明しました(「東京」1日付)。
 11日には演出家の宮本亞門さんが、沖縄県主催のシンポジウムで、戦争を止める行動に「未来がかかっている。私は止めるために行動していきたい」と訴えました。
 自民党の重鎮からも軍拡批判の発言が相次ぎます。
 古賀誠元幹事長は敵基地攻撃能力の保有は「完全に専守防衛を逸脱してしまう」(「東京」昨年12月16日付)と警鐘を鳴らし、河野洋平元総裁は「反撃能力というのは威嚇(いかく)だ。明らかに武力による威嚇を予算化しようとしている」(7日、TBS系「報道特集」)と批判しました。また山崎拓元幹事長も「目先の軍事的脅威に合わして、軍事大国になることは控えた方がいい」(5日、フジテレビ系「FNNプライムオンライン」)と発言しました。
   戦争への加担
 集団的自衛権行使のために敵基地攻撃能力を保有するのは、日本の防衛のためではなく、米国の戦争への加担です。攻撃に踏み切れば、報復攻撃を受け、南西諸島はじめ日本が焦土と化すことは必至です。
 数千発の長射程ミサイルを保有、配備し世界第3位の軍事力を保有することが、憲法9条2項の「戦力不保持」規定に反することは誰の目にも明白です。相手国領土内での武力行使は行わないとする「専守防衛」に反することも明白です。
 そのための大増税計画に国民の怒りが吹き出し、事態の本質が広く共有され始めています。
 平和のためにいま必要なことは、対立を遮断(しゃだん)・断絶につなけない、包摂(ほうせつ)的対話の枠組みをつくり、対話と協力で地域の安定をつくる外交的努力です。
 2015年の安保法制反対を上回る国民的大運動を起こすときです。

しんぶん赤旗2023年1月16日(月)