大阪府議選 吹田6778票増

しんぶん赤旗2023年5月24日(水)掲載記事 記事pdf

統一地方選 奮戦から
大阪府議選 吹田6778票増

石川多枝府議に聞く
生活の願い党派超え広がる

 先の大阪府議選(定数79)で、定数3の吹田市区で石川多枝さん(55)が自民(落選)、公明新人に競り勝ち、2位で当選しました。共産党落としの定数削減(総定数を88から79に削減、吹田市区は4から3に削減)のなか、前回より6778票、132%に得票を伸ばし、昨年の参院比例票の190%を獲得して議席を守り抜きました。選挙戦と抱負を石川さんに聞きました。
 (大阪府・小浜明代)

― 議席を守りぬきました。

当選を果たし、後半戦で全員勝利した市議7氏とともにガッツポーズをとる石川さん(前列左から2人目)=4月10日未明、大阪府吹田市

 石川 当選が分かった瞬間、みんな涙、涙で。吹田市で52年間、府議会では72年間つないできた議席を守れるのかという不安とプレッシャーのなかでの選挙でした。暮らし、子ども、商売を守ってほしいという願いを府政に届ける議席を失うわけにいかないと大阪の党組織あげての支援、地元の党と後援会、支援していただいたみんなで頑張り抜いて勝ち取った宝の議席です。

― 今回の選挙ではこれまでにない広がりがありました。

 石川 市民連合と政策協定を結ばせていただき、社民党と緑の党からは政党推薦をいただきました。社民党副党首の大椿裕子参院議員や府連代表の長崎由美子さん、立憲民主党の森山浩行衆院議員、村上史好前衆院議員が応援演説をしてくれました。

 カジノ反対の運動をされている人たちが「カジノ反対は石川だけだ」と勝手連をつくり、スタンディングやチンドンパレードなど創意あふれる宣伝を連日行い、選挙活動は初めてという人が毎朝駅前でビラを配ってくれました。

 競争教育によるこれ以上の教育破壊を止めなければと元教員の人たちが組合の違いを超えて「教員サポーターズクラブ」を立ち上げ、元教育長の参加や、教育関係者への対話を広げてくれました。

 「共産党の話なんか聞くものかと思っていた」というある労働組合の人は私の訴えを聞いて「イメージが変わった」と、ほかの組合員にも声をかけ、宣伝カーの運転手も引き受けてくれました。

 あいさつに回って実感するのは、知らないところでたくさんの方が「石川を落としてはならない」と必死で支持を広げてくださっていたということです。地元のお寺の元住職やお花の先生はビラをコンビニでコピーして知り合いに広げてくださっていました。いままでにはなかったことです。

 もちろん、勝利の土台には党と後援会の皆さんの猛奮闘があります。最終盤、当落線上の4位という情勢判断で、新たに5000票の上積みが提起されました。「折り入って作戦」に思い切って力を入れ、あと一票広げられるところはないか、つながりはほかにないかととことん粘って、思わぬ支持の広がりも生み出し、最終日までに超過達成をやり遂げてくれました。

 ― 訴えで力を入れたことは。

 石川 物価高騰とコロナ禍で暮らしはいっそう厳しくなっています。

 シングルマザー支援団体のアンケートでは、光熱水費の節約のため、お風呂は週2回、トイレは毎回流すということはしないという人がたくさんいます。「子ども医療費の窓口負担500円は1食分のお金です。病院に行くか食事をとるかの選択を強いられる親の気持ちが分かりますか」と話されたときは言葉になりませんでした。

 「激安スーパーで買ったうどん1玉と豆腐1丁を3回に分けて食べる」「痛みが我慢できなくなるまで医者には行かない」という高齢者、「コロナで融資を受けたけれど、お客が回復していないので返済ができない。このままではお店を続けられない」と窮状を訴える飲食店の人など、苦しんでいる人たちのお話は涙なしには聞けませんでした。学校の先生が忙しすぎてお話を聞いてもらいたいけれど聞いてもらえないと話した子どももいます。こんな実情をよそに何がカジノかという思いを訴えに込めました。

 足を止めて聞いてくれた若い男性がいました。「母子家庭で貧乏ななかで育ちました。いまは自分が親を支えています。他のすべての党の演説を聞いたけれど高齢者のことは誰も言いませんでした。石川さんに入れます」と語ってくれました。

 ― 議会が始まりました。

 石川 8年前に初当選して以来、子どもの貧困をなくしたいと力を入れ、子どもの貧困対策費が実現しました。しかしいまも子どもの貧困はなくならず、ひとり暮らしの中高年女性、高齢者まで貧困問題はさらに深刻になっています。

 府議会で日本共産党は1議席になったので山本宣治に例えて、「ひとり孤塁を守る、ですね」とよく言われます。しかし、議席を勝ち取らせてくださった2万8000人の皆さんがついていてくれます。ひるんでいる場合ではありません。実態と願いを府政に届け、暮らし、命を守るために選挙で訴えた、子どもの医療費完全無料化や高齢者医療費助成制度の復活、障害者医療の薬代無料化、非正規で働く世帯への生活支援金、事業所への固定費補助などの実現、カジノストップへ、全力で維新府政に立ち向かいます。