国民貧しくした異次元緩和 特権階層だけに利益

※しんぶん赤旗2024年3月20日(水)掲載記事 記事pdf

国民貧しくした異次元緩和
特権階層だけに利益

【解説】2013年に安倍晋三政権が日銀に押し付けて始まった「異次元金融緩和」政策は、勤労所得に依存する庶民の目からみれば大失敗でした。
 実質賃金は、12年の404万6千円から23年の371万円へ、33万6千円も落ち込みました(グラフ)。直近でも22ヵ月連続で前年同月より減少しています。勤労者を貧困化させる経済情勢のどこが「好循環」でしょうか。
 他方で特権階層だけは史上空前の利益を享受しました。多国籍大企業と、その株式を大量に保有して不労所得を得る富裕層です。

貧困・格差拡大政策

 12年秋には9千円程度だった日経平均株価が、今月4日には史上初の4万円台まで上昇しました。純金融資産を5億円以上保有する「超富裕層」は11年の5万世帯から21年の9万世帯へ増加。「超富裕層」の純金融資産総額は11年の44兆円から21年の105兆円へ急増しました。
 (野村総合研究所の推計)
 異次元緩和の中心的な狙いは当初から、超低金利と大量の資金供給によって為替相場を円安に誘導し、為替差益で多国籍大企業をもうけさせ、株価を押し上げることでした。円安は輸入資源価格を上昇させますが、大企業は商品価格を値上げして国民に負担を転嫁できます。異次元緩和は、大多数の国民を犠牲にして一部の不労所得者を利するための、貧困・格差拡大政策だったといえます。
 日銀は、約11年間の異次元緩和で599兆円の国債と37兆円の上場投資信託(ETF)を保有するに至り、資産価格が下落すれば債務超過に陥るリスクを抱え込んでいます。弊害ばかりが指摘されたマイナス金利などを解除する一方、当面「緩和的な金融環境」を継続する姿勢です。 金融緩和と異常円安から脱却するためには実体経済全体の好循環を実現する必要があります。しかし24年度に賃上げを実施する企業のうち「5%以上」上げる企業は25.9%にとどまり、前年度の36.3%から10.4ポイントも減っています(東京商工リサーチ調査)。賃金を含め、国民の実質可処分所得を増やして消費を活性化する政策が不可欠です。

国民所得減らす政策

 ところが岸田文雄・自公政権は、中小企業への直接支援や消費税減税、年金増額などの政策を拒んでいます。そればかりかインボイス増税や年金の実質減額など、国民の実質可処分所得を減らす政策を強行しています。
 大企業と富裕層を優遇する金権腐敗政治が続く限り、日銀と国民の前途は多難です。
          (杉本恒如)