大激戦制し引き継いだ宝の議席 川崎市

しんぶん赤旗2023年4月12日(水)掲載記事

伝えて支えられて
大激戦制し引き継いだ宝の議席
川崎市
斉藤温さん子育てと選挙に奮闘

 川崎市麻生区で市議選に初挑戦しだ斉藤温(のどか)さん(32)が、定数7に有力9人が立候補した激烈な選挙戦を勝ち抜き、勝又光江市議の4期16年の宝の議席を守りました。

選挙中、公園で親子連れと対話する、斉藤温さん(左から2人目)、勝又光江市議(左)

 0歳と2歳の子どもの母である斉藤さん。子育てや介護など、生活を大切にしながら、どんな人でも政治参加できる社会に変えることが、多様性を認める本当の民主主義社会の実現につながると、その思いを周りに伝えました。それに応えて陣営が立ち上がり、市民の支持が広がりました。
 支部と後援会、サポーターは駅頭でのロングラン宣伝など、早朝から夜まで大量宣伝に奮闘。朝の宣伝の場所取りが午前3時から競われるなど、各党がしのぎを削りました。子育てで、ほかの候補ほど宣伝時間がとれない斉藤さんを支えようと、多くの支持者、後援
会員らが交代でマイクを握りました。初めてサポーターとして参加した「赤旗」日曜版読者や、街頭宣伝中に協力を申し出てビラ配りに参加した市民など、訴えに共感した人たちの協力の輪が広がりました。
 支持拡大は最後まで大きく遅れましたが、最終盤は「折り入って作戦」で地道に支援の担い手を広げました。「子どもの医療費助成を18歳まで拡充」「学校紿食費無償化」「暮らしに寄り添い、格差をただす」「ジェンダー平等の社会へ」「大軍拡を止め、外交の力で平
和な世界を」と訴え抜きました。ビラの受け取りや反応は次第によくなり、7203票(10.9%、前回比426票増)、4位での当選につながりました。
 斉藤さんは「一人ではたたかえない選挙でした。選挙中、多くの市民のみなさんから暮らしの悩みや政治への願いを聞きました。その思いに応えるため、全力を尽くしたい」と語っています。

☆本HPの「資料など」のページに斉藤温さんを紹介した昨年のしんぶん赤旗の記事などがあります。ご参照ください。以下にコピーします。

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神奈川新聞 2022年11月13日(日)から

かながわの女性と政治

向き合った「怖さ」 女性の政治参加を切り開く

出産間近の斉藤さん(左)と女性の政治参加を語る浅賀さん

 今夏の参院選で子育てを中心に据えた戦いに挑んだ候補者がいる。3児を育てながら神奈川選挙区で共産党から立候補した浅賀由香さん(42)。「生活に政治を近づける」と掲げ、男性中心の政治の世界に多様性を生もうと模索した取り組みは、残念ながら議席には届かなかったものの、後進の女性たちに着実に受け継がれている。

覚悟

 「7月から産休を取り、その後育休を取ります。12月までSNS発信もしません」。昨年4月、浅賀さんは参院選への出馬表明と同時に「育休宣言」をした。会見場の記者たちを前に、手は震えていた。
 
 浅賀さんは2012年に第1子を出産し、衆院選神奈川15区から立候補。第2子を出産後、16、19年の参院選に挑んだ。選挙前に活動を完全に休むことを決めたのは今回が初めてだった。
 
 仕事を何よりも優先する価値観が浸透した政治の世界で、休むことは「弱さ」になる。身を削るように働き、評価を受けてきた浅賀さんにとって、相当の覚悟が必要な決断だった。「顔や名前を売り、政策を訴える機会を自ら一つ一つつぶしていくことになる」。支持者や有権者の評価はどうなのか。何を言われるか分からない怖さがあった。

犠牲

 子育てを行う女性の政治参加を阻むのが、政策よりも人に対して票を投じる「候補者中心」の選挙制度だ。長く街頭に立ち、握手を交わし、名前と顔をどれだけ覚えてもらえるかが重要視される。共産党も告示前の戸別訪問などで候補者が地域の課題を聞き取る。団体や後援会へのあいさつも、多い時は複数会場をはしごする。知名度が高い現職ならまだしも、何も持たない新人候補は活動量でカバーするしかない。浅賀さんは党員や支持者から家事の支援を受けたが、子育てと活動の両立の難しさを過去の選挙で痛感していた。
 
 16年の参院選は、長男が4歳、長女が1歳だった。夜泣きでほとんど睡眠がとれない中、泣きながら戦った。19年の参院選は7歳と4歳。子どもたちを寝かしつけた後、午前2時に起きて選挙の準備をした。もうこれ以上できないというほど睡眠時間を削り、体は限界に達した。子どもとの時間も犠牲になった。全力を尽くして戦っても、議席には届かなかった。「ここまでやっても無理なら、もう私以外でもいいだろうと思っていた」

実践

街頭演説後に市民と会話する浅賀さん(中央)

 19年の参院選後、浅賀さんはジェンダーについて学ぶ中で、苦しんだ自分の経験と向き合った。「当時は子育てをしているから成果が低いと絶対に言わせたくなかった。子どもとの時間を大切にしたいから、成果物を出すために自分の睡眠を削っていた」と振り返る。
 
 日本では、多くの女性が仕事と家庭の両立に苦しむ。浅賀さんの元に届く声は悲痛だった。「仕事も家事も中途半端で、自分はいらない人間のように思える」「仕事を頑張りたかったけど諦める」。夫の長時間労働を支えるために多くの女性がキャリアを諦める。厚生労働省によると、働く女性の半数以上が非正規雇用 だ。
 
 第3子を望みつつ、妊娠したら立候補できないと悩む浅賀さんの背中を押したのは友人だった。「妊娠出産しても立候補したらいいじゃん。私も一緒に考えるから、子育てしながらでもできる候補者活動をつくっていこうよ」
 
 自身も既存の政治家像にとらわれていたことに気付いた。浅賀さんは覚悟を決め、4月の出馬表明で訴えた。「仕事を何よりも優先する価値観、そして優先できる条件を持つ人たちだけで牛耳る政治は多様な民意を反映しているとはいえないのではないでしょうか」。既存の政治家像に生活や人生を犠牲にしながら沿うのではなく、生活に政治を近づけることを自ら実践しながら社会に問おうとした。

共感

 浅賀さんの新しい挑戦を党内外が支えた。夜の会合や決起集会は出席せず、ビデオメッセージで代用。県内各地で、候補者不在の決起集会が開かれた。他候補が精力的に活動していた大型連休も子どもとの時間を優先した。共産党県委員長の田母神悟さんは「党内でも若干戸惑いがあったが、それを受け止めて全体で支えようと変わっていった」と話す。無所属の女性議員や市民も浅賀さんと一緒に街頭で訴えた。
 
 家族も共に戦った。0歳児にミルクをあげたり、寝かしつけたりするのは夫が担当。家事もシェアした。生活も大切にしながら戦う挑戦は共感を呼び、仕事と育児の両立に悩む女性たちが演説を聴いて涙ぐむこともあった。浅賀さんの元に届いたのも、背中を押す声ばかりだった。
 
 迎えた投開票日、あと一歩届かず次点で涙をのんだ。比例の得票率も目減りし、党勢の衰えを示す結果が出た。本人の得票率も過去2回の11%台から8%台に低下した。制限のある活動に、党外の団体から「他の政党は候補者本人が会合に来るのに」と言われたことも事実だ。一方で、浅賀さんの訴えが市民に響き、出口調査では、無党派層の投票先で全候補者の2番目につけた。

希望

 落選が伝えられた深夜の事務所で、浅賀さんは支持者を前にマイクを握った。「訴えていることに関してはすごく広がりを感じた。党の候補者としてだけでなく、市民の候補者として応援を受け、一緒に戦えたのは誇り」。悔しさをにじませながらも、前を向いた。「女性候補をサポートして、みんなで女性参加を切り開いていきたい」
 
 浅賀さんの挑戦は、実際に党を変え始めている。来春の川崎市議選に挑戦する同党の斉藤温さん(31)は9月から産休・育休に入っている。「浅賀さんを見て頑張ろうと思った。女性が政治に進出する時の逆風 はすごく強いけれど、一歩一歩どこかの誰かが勝ち取っていかないといけない。励まし、巻き込みながら小さい力を集めることで良い方向に動かしていきたい」。そう話す斉藤さんを、浅賀さんは温かく見つめた。(加地 紗弥香)

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あさか由香さん facebook 

13日神奈川新聞の特集で一緒に紹介してもらった斉藤のどかさん。今年10月に出産し、現在育休中。来年4月の川崎市議選に、勝又光江議員の後継として挑戦します。
「どんな状況にある人も政治に参加できる社会を目指す」
斉藤のどかさんの言葉はとても心に響き、「そうそう、それだよ言いたかったこと!!」と自分の思いの言語化に、どれだけ助けられてきたかわかりません。
「由香さんを私が当選させます!」
そう言いきってくれたことが、どれだけ心強かったか。
のどちゃんが悩みに悩んで、悩み抜いて決意した、川崎市議への挑戦。
今度は、私の番だよね。必ず当選させる!その気概で頑張ります!

しんぶん赤旗2022年11月11日(金)
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